



展覧会風景写真
金崎亮太
Ambient Variation_01
Ambient Variation
「音を聴くこと」とは何か。
「光を視ること」とは何か。
そして「時間を知覚すること」とは何か。
それぞれを区分しながらも、ひとつの環境として立ち上がる場を提示してみたい。
Ambient Variationは、ひとつのピアノ曲から生成したアンビエントサウンドを起点に、音を聴くこと、光を視ること、そして時間を通じて、私たちが知覚現象を捉える行為そのものを問い直す試みである。
本来、音は空間に響き、物体に反射し、距離や残響を伴いながら身体に届く。
私たちはその響きの変化を通して、音源の位置や空間の広がり、そこにある物体の気配までも知覚してきた。
同じように、光が物体を照らし、その反射光によって私たちは姿や形を認識してきた。
視ることとは、単に目に光が届くことではなく、光が空間を通り、物体に触れ、反射し、身体へと伝わってくる過程を受け取ることでもある。
しかし今日、私たちはイヤホンによって鼓膜に直接振動を受け取り、デバイスの発光によって目に直接光を受け取っている。
空間を介した広がりや距離の感覚は希薄になり、響きや残像は失われ、知覚はますます身体の表層へと縮減されていく。
私たちはそのような環境を、しばしば「デジタル」や「バーチャル」という言葉で簡単に整理してしまう。
しかし、そこでは音や光が本来持っていた、空間を媒介として身体に届く複雑な経験が失われているのではないだろうか。
さらに時間は、一方向に流れるものとして、私たちの知覚環境を支配し続けている。
そのような環境に慣れ、うつむいたまま世界を受け取ることに馴染んだ私たちは、いつの間にか「知覚すること」そのものを失いつつあるのではないだろうか。
本作では、現象そのものを率直に知らせるような方法で、「音」が、「光」が、そして「時間」が、ここに在る環境を立ち上げたいと考えている。
目の前にある物体は、回転することで音を発し、同時に光を受け、反射し、像を生み出す。
針を落とすことで立ち上がったはずの音を探り、そこに現れる像を静かに見つめる。
それらを連続的に体験するなかで、時間もまたひとつの感覚として立ち現れる。
それは、ある種の自然環境への回帰に近いのかもしれない。
音と光は、時間に運ばれながら、私たちが世界を認識するための波として身体を訪れる。
そしてそれらは、身体に染み込み、溶け合いながら、ひとつの知覚環境として立ち現れる。
Ambient Variationは、その体験を通して、「聴く/視る」という感覚の区分だけでは捉えきれない、もうひとつの知覚のあり方を提示しようとするものである。
金崎亮太
Ryota KANASAKI
1984年大阪生まれ
2006年大阪芸術大学芸術学部音楽学科音楽工学コース卒業
個展
2021年 AR作品常設展示「AR オペラ TECHNOPERA メリケンパーク ( 兵庫)
2021年 個展「音景」茨木市立ギャラリー・天文観覧室プラネタリウム・ローズWAM ホール(大阪)
2023年 AR作品常設展示「有馬アートナイト The Sounds」(兵庫)
2025年 AR作品常設展示「万葉文化館AR」万葉文化館(奈良)
グループ展
2021年 芸術祭「茨木映像芸術祭」(大阪)
2022年 芸術祭「六甲ミーツアート 芸術散歩2022」(兵庫)
2024年 芸術祭「アート& サイエンスフェスティバル」万博記念公園(大阪)
2024年 二組展 w/ 岡本啓「波のつげさき」KARINOMA 旧武石商店(大阪)
2025年 常設展示「弁天町ステーションアート」大阪メトロ弁天町駅(大阪)
2025年 芸術祭「高松芸術港」高松シンボルタワー(香川)
2026年 芸術祭「有楽芸術港」阪急メンズ東京(東京)
演奏会
2012年 演奏会「根底の響きを探って」京都芸術センター ('13 '14 京都)
2023年 演奏会「絵本音楽会」ローズWAM ホール('24 大阪)