Heart

ーお詫びと訂正ー
山田命佳「Heart」の展覧会葉書（印刷物）にて、会期最終日の曜日に誤りがございました。
誤：21日(日)
正：21日(火)
ご来場を予定していたご鑑賞者様ならびにご関係者様には心よりお詫び申し上げます。
今後とも変わらぬご愛顧賜りますようお願い申し上げます。



私は、金属の針金を手作業で曲げる行為を制作としています。
細い針金を地道に曲げ続ける行為とその繰り返しの結果として作品が完成していく様子は私たちの日々の歩みにも似ています。
今回の制作では真鍮線とミシン糸を用い、独自のワイヤーワークとかぎ針編みを組み合わせました。
針と糸の扱いは幼い頃に母から教わった裁縫を通じて自然に身についたものでした。
その手の記憶は成長とともに金属工芸という新たな素材に出会い、形を変えて継続されていきました。
手芸的な手の動きを、金属という硬質な素材に適用すること。
そこに私自身の身体性や記憶、そして家庭と教育という異なる背景の交錯を感じています。
編むこと、曲げること、繰り返すこと。そうした一つひとつの手の動作は、私にとって単なる制作手順ではなく、記憶を編み直し、存在のかたちを問い直すための行為です。
今回はハートをモチーフとして選びました。
英語で「Heart」は心臓を意味しますが私はそこから 心臓→生命→魂→精神 と連想を重ね、最終的に ハート=記憶 というイメージを持ちました。
今回の制作ではハートという汎用されてきたモチーフを通じて、私たちが何世代にも渡り受け継いできた記憶を編み上げることで再構築する試みです。