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トマ・ジラン

どんな雲にも銀の裏地がある

2022.05.21.Sat ~ 06.14.Tue
blues dress SHIBUYA
13:00 ~ 18:00 No holidays
Thomas Gillant《Crossing color fields》

Acrylic and oil on canvas
113x85cm
2022
Thomas Gillant《Cloud machine #1》

Acrylic and oil on canvas
100x65cm

「どんな雲にも銀の裏地がある」
どんよりした空模様の時、空を見上げると微妙なグレーの色調とより色鮮やかな色調とが混在していることがあります。その折、急激な大気の変化により薄らいだ雲のヴェールを破るように巨大な筆で雲を切り裂く光束が現れます。このような空の下で、このペインティングシリーズは生まれました。油絵具を何層にも重ね、色のグラデーションと筆跡の間に生じる緊張感を利用することで、作業中に偶然に生まれる可能性を探っています。

英語圏の「どんな雲にも銀の裏地がある」という慣用句にインスパイアされ出来上がった今回の抽象絵画シリーズは、仕上がりから方向性や可能性を見いだし、予期せぬ結果からもそれを生かし、試行錯誤しながら展開させていくという実験的な要素を含んでいます。

画像編集ソフトで作業する際の一連の動作を別の行為に倣って、アクリル絵の具の層が土台となり、その上に油絵の具の層を重ね、最後にスクレーパーやブラシで加工したものが、それぞれのキャンバスに銀色の裏地を浮かび上がらせています。紙に描いたスケッチをスキャンしてコンピュータでカラーバリエーションを作り、ブラシやローラー、スプレーガンを使ってキャンバスに転写するのです。そして、表現力豊かな筆の動きであるストロークと、低解像度のJPEGのぼかしをピクセル化し、色のグラデーションを足すといったコンピューターグラフィックス(CGI)の美学に似た側面が対照的に見られます。

表面はスクリーンのようにほとんど平面なままですが、グラデーションを使うことで空間に立体感を与えています。同様に、色彩にも奥行きを感じさせます。虹色の絵の具が濁った色調を照らし出し、鮮やかな色彩は暗い霧に覆われています。ぼんやりとした平坦さと人工的に作り出された奥行きとが、常に対話をしています。「夜の電柱の揺らぎ」「熱と冷の色相の靄」といったタイトルは、自然現象と絵画的実験の類比を表しています。

トマ・ジラン  2022年4月

トマ ジラン / Thomas GILLANT

Biography
Thomas Gillant's work is characterised by gestural abstraction, digital aesthetics, and colour vibration. Using oils in a limited palette and a wide range of tools, including spray guns, brushes and rollers, he resists emphasising any specific aspects of the composition, thereby uniting the canvas and keeping the eye in motion. By using shapes that tease our depth perception, and experimenting with colour juxtapositions to create vibrational effects, his work creates a strong and immediate visual impact.

Education
Émile Cohl School of Arts, Lyon (France), BA

Selected Group Exhibitions
Epic painters, The Blank Gallery, Tokyo, 2021
Shift operation, Cave Gallery, Tokyo, 2020
Interactive Youth, Hinoki Gallery, Tokyo, 2020
The view from here, The Landing #2, Tokyo, 2019
“Summer show IX”, Atelier Communiquer, Bouc-Bel-Air (FR), 2017
Bold shapes tell no tales, Écarts Collective, Aix-en-Provence (FR), 2014
Flat traps, Écarts Collective, Aix-en-Provence (FR), 2012

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