蓮井元彦 写真作品1
蓮井元彦 写真作品2
ミッドトーンとは色調の中間域、つまり白から黒までの間にある微妙なグラデーションを指す言葉である。僕はつねづねそれを意識しながら写真を制作している。
多くの事象について単純に白と黒ないしは明と暗、どちらかに分類することは難しい。さまざまな色彩や濃淡がより複雑に絡み合う中間のグラデーションの中にこそ僕はより人間的な何かを見出したいと考える。
それは時にあまりに些細であいまいな感情であるがゆえに、声にはならないかもしれない。しかし僕は、それでも尚、自分の心の中に耳を傾ける。
蓮井元彦(はすい・もとひこ)
写真家。1983年生まれ、東京都出身。
2003年渡英、Central Saint Martins Art and Design にてファンデーションコースを履修した後、London College of Communication にて写真を専攻。卒業後、2007年帰国、東京を拠点に活動する。2013年、4年間の日常生活を記録したスナップ写真からなる写真集『Personal Matters』(日本語訳「私事」) をイギリスの出版社 Bemojake より出版する。その後、数冊の私家版小冊子の発表を経て2019年、続編の『Personal Matters Volume II』(Bemojake)を出版。2020年にはモノクロのスナップ写真をまとめた写真集『for tomorrow』(Libro Arte)、2021年にはコロナ禍の沈んだ空気の中で、都市を題材にした写真集『写真はこころ』(Printed Union) を出版する。また、コミッションワークにおいては、2018年に吉岡里帆写真集『so long』、2019年にはG20大阪サミット2019にて京都・東福寺で行われたティーセレモニーに際し制作された図録の撮影を手がける。