



《夢路の鳥》
Oil on canvas
210m×297mm
2025
展覧会風景写真
出先で散策しているときに、ときたま立ち止まっては写真を撮ったりスケッチを描いたりするのが好きだ。
とくに植物園や旅行先で作品の構想を思いつくことがよくある。歩くとともに風景が目まぐるしく変わっていき、歩行とともに脳がなにかを発見したがる。獲物を探すように。
いつも物事の裏に、なにかが潜んでいるような感じがする。
制作を意識した散策をするときは特に、現実世界のささいなほころびから別の世界が開けるような感覚がある。
柵とか破れたフェンスなんかが特に気になる。土地を、領土を分割するための補助線。そこに植物が絡みついていたりすると、最高に詩的だ。
今回の展覧会名に引用した「N-gon」というのは3DCGの表示バグの要因になるCG用語、概念で、5角形以上の頂点を持つポリゴンの面のことを指す。「ポリゴン」という単語には「poly」つまり無数の複数性が含まれているのに対して、Nゴンは「N個」、つまり有限の変数が想定されている。
この概念は、破れたフェンスや、花壇を囲む杭とロープのことなんかを思い起こさせる。
自分がきまぐれで展開していく3DCGのパラレルワールドも結局のところはN個の有限な世界だし、バグを引き起こすN角形のポリゴンのようなものでもあるかもしれない。
そういったものが世界にずっと存在していてほしい。
今回の展示では、それぞれの絵画の中に、パラレルワールドでの断片的な記憶のかけらのようなものが垣間見えるかもしれない。壊れたNゴンの多角形が鑑賞者それぞれの脳内で、ほどよく結ばれたらいいなと思う。
2025年5月 近藤拓丸
近藤拓丸 Takumaru KONDO
1993年 福岡県生まれ。東京を拠点に活動。
2018年 多摩美術大学 大学院美術研究科博士前期課程(修士)絵画専攻油画研究領域卒業
2017年 弘益大学校(韓国 ソウル) 交換留学(2017年8月~2018年1月)
2016年 多摩美術大学 絵画学科 油画専攻 卒業
展覧会歴
2025年 「SHOWCASE by ArtSticker」アートかビーフンか白厨(東京 六本木)
2025年 「もともと別の世界にいたようで」個展 ginzaSIX 銀座蔦屋書店(東京 銀座)
2024年 「SHIBUYA STYLE vol.18」西武渋谷店美術画廊(東京 渋谷)
2024年「Mod」個展 Bluesdress渋谷 galleryKTO(渋谷)
2024年「BUG ART AWARD ファイナリスト展」BUG(東京)
2023年「長亭gallery展」長亭gallery(東京 馬喰横山)
2023年「ニュー・ニューウェーブ・フクオカ」黄金町エリアマネジメントセンター(横浜 黄金町)
2022年 「WATOWA ART AWARD 入選者展」watowa art gallery(東京 浅草)
2022年「AFAF アートフェアアジア福岡」(福岡 福岡市)
2022年 「パルコ感覚」 福岡PARCO (福岡 福岡市)
2022年 「仮想の方法」 SICF23出展 スパイラル(東京 南青山)
2022年 「舋everydaychemistry」R for D (東京 渋谷)
2022年 「素粒子のフィジカルー現実の描画距離」個展 IAF SHOP(福岡 薬院)
2018年 「や」blanclass (神奈川 横浜)
2018年 「TAMABI SELECT -1-」多摩美術大学 アートテーク(東京 八王子)
2018年 「ATAMI ART WEEK」(静岡 熱海)
2018年 「AUTO」N-MARK(愛知 名古屋)
アートフェア
2022年「AFAF アートフェアアジア福岡」ホテルオークラ福岡 ( ギャラリー尾形)
受賞・入選歴
2024年 第1回 BUG ART AWARD ファイナリスト
2023年 第22回アートギャラリーホーム 入選
2023年 第21回アートギャラリーホーム 社長賞受賞
2022年 WATOWA ART AWARD 入選
2022年 長亭gallery賞 2022 奨励賞受賞
2022年 第20回アートギャラリーホーム 入選